東京は地ビール醸造天国? 都道府県別のブルワリー数と2016年クラフトビール地図

2017-11-28

日本国内で稼働している比較的小規模なビール醸造所ブルワリー)やビールバーの、2016年12月時点でのマップ情報をまとめました。併せて、ブルワリーの数が多い都道府県をランキング形式でご紹介しつつ、クラフトビールの業界をとりまく動向にも少し触れてみます。

※ 本記事は2017年4月23日に公開した内容をベースとして、追記や修正を行ったうえで2017年10月21日に更新したものになります。

 

ブームを経て確立・定着へ

 

今、日本のクラフトビールは「第2の隆盛」を経て、確立・定着の段階に入ったと感じます。

1994年の酒税法改正(※1)に続く設立ラッシュと、その後やってきた市場停滞および淘汰を経て、クラフトビールを醸造するブルワリーの数は2014年頃から再び拡大に転じました(※2)。2016年12月現在は国内で270箇所前後にまで増えていて、2017年も力強い拡大基調のまま、各地で続々と新しい醸造所が誕生します。

今回は、国内のそうしたブルワリーをとりまく状況について、当サイトなりに感じたことを簡単にまとめてみました。

※1 ビール製造免許の取得に必要な年間最低醸造量の規制が2,000KLから60KLに引き下げられた同改正によって、それまで大企業以外には事実上困難だったビール醸造が中小規模の事業者にとっても現実的選択肢になりました。それが、「地ビールブーム」と呼ばれた「第1の隆盛」につながります。

※2 国税庁「酒のしおり(平成28年3月版)」

 

ビール醸造所が多いのは大都市?

まず、2016年12月現時点で当サイトが稼働を確認している小規模なブルワリーの数を、上位10都道府県に絞ってまとめてみました。

都道府県別の比較自体に大きな意味はありません。データは現在進行形で変動している流動的なものであり、あくまでもクラフトビールにまつわるムーブメントを直感的に捉えるための、1つのツールという程度の認識にとどめていただければと思います。

そのうえで早速ご紹介しますと、小規模なブルワリーの数が日本で最も多い地域は28ヶ所の東京都でした。営業オフィスでなくビール醸造所という「ものづくり拠点」で東京が最多というのは意外でしょうか。

実際、一昔前は「地域に新しい観光資源を」といった目的で地方に設立されるブルワリーが多かったこともあります。地価の高い大都市圏におけるブルワリーの隆盛はイメージしづらいかもしれません。

しかし、東京に次いで数が多かったのは北海道ともう1地域、横浜という大都市を擁する神奈川県でした。以下、12ヶ所の静岡県と長野県と兵庫県、10ヶ所の新潟県、8ヶ所の愛知県と大阪府と埼玉県が続きます。上位10都道府県で国内における小規模なブルワリーの半分以上を占めていました。

 

首都圏にひしめく「ナノブルワリー」

28ヶ所
東京
19ヶ所
神奈川
19ヶ所
北海道
12ヶ所
静岡
12ヶ所
長野
12ヶ所
兵庫
10ヶ所
新潟
8ヶ所
愛知
8ヶ所
大阪
8ヶ所
埼玉

※ 事業者の皆さまへ:情報の正確性については万全を期しておりますが、万一事実と異なる内容や記載ミスがありました場合は至急修正いたします。大変お手数ではございますが、コンタクト案内よりご一報いただけますと幸いです。

ここで一旦「小規模なビール醸造所」という表現の定義を確認します。以降は「マイクロブルワリー」と表現しますが、本エントリーでは「大手5社(アサヒ/キリン/サントリー/サッポロ/オリオン)の工場」と「学術機関等のR&D施設」を除くビール醸造所と定義しています。また、同じメーカーでも複数の醸造所があれば醸造所の数をカウントしたほか、自社設備を持たない、いわゆる「ファントムブルワリー」は集計から除きました。

一方、ビール製造免許を保有するブルワリーと発泡酒製造免許(年間最低醸造量6KL)だけを持つブルワリーは分けずに集計しました。その辺も踏まえると、ここ数年で誕生した大都市圏のマイクロブルワリーは、そのほとんどが発泡酒免許で運営されていて、かつ飲食店を併設した「ブルーパブ」形態が多いと言えます。

これらの施設は既存のマイクロブルワリーと比べても醸造量がさらに一回り少なく、「ナノブルワリー」と呼ばれることも。ですから、販売数量の合計では都道府県別でもまったく違う結果になる点には留意が必要です。市場全体では、主に10年以上前から活躍する各地域のブルワリーが主役と言っていいでしょう。

 

資金調達手段やビールイベントの多様化

ただ、それを差し引いても、消費力が圧倒的に高い首都圏におけるブルワリーの立ち上げラッシュには大変な勢いがあります。こうしたブルワリーは外販比率が低いか、自店での樽生提供だけを前提に醸造しているケースも多く、ボトリング等の設備や外販/物流にリソースを割くことなく、比較的小さな初期投資で事業を興しています。

今はそれをクラウドファンディングのような新しい資金調達手段や各地の多様なビールイベントが資金や収益の面で下支えしている、というのが、目下、クラフトビールをとりまくムーブメントのポイントの1つだと思います。

 

裾野の広がりは、頂上(品質)の高さに

もちろんブルワリーの数は指標のひとつでしかありません。ただ、参入者が増えて“山の裾野”が広がれば、その頂上もゆくゆくは高くなって、一層の質向上や市場拡大につながるという思いがあったので、あえて今回は「数」に着目してみました。

読者の皆さまからのご意見や取りあげて欲しいテーマも大募集中です!

 

 

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