サッポロビール、クラフトブルワリー向けに国産ホップ2種の外販開始!

サッポロビールは2025年12月より、日本産ホップの振興に向けた取り組みの一貫として、国内のクラフトビール醸造所向けに、同社が契約栽培を行っている国産ホップ「リトルスター」「信州早生(しんしゅうわせ)」の外販を開始します。
クラフトブルワリー×国産ホップで広がる可能性
現在、北海道の上富良野町(かみふらのちょう)、岩手県の軽米町(かるまいまち)、青森県の田子町(たっこまち)の3箇所でホップの契約栽培を行っているサッポロビール。同社は100年以上前からホップ生産者との契約栽培・全量買取を行っており、農林水産省に現在品種登録されている国産ホップ28種のうち、20種はサッポロビールの開発によるものだそうです。
一方で、日本国内のホップ生産は1960年代の最盛期を経て年々減少し続けており、現在は生産者の方々の高齢化や後継者不足の課題も抱えているとのこと。そうした現状に対し、ホップの育種・品種改良に長年取り組んできた立場として、「サッポロビールには国産ホップの価値や可能性を伝えていく責務があると考えている」と語るのは、同社購買部のホップ調達を担当する楯優作(たて・ゆうさく)氏です。同社は今後、「より多くのパートナーと協力して日本のホップ産業を未来へつなげる」(楯氏)べく、クラフトブルワリーへの国産ホップ外販に取り組んでいくとしています。
IPAなど、いわゆる“ホップフォワード”なビアスタイル(ビールの種類)を採用することの多いクラフトブルワリーは、サッポロビール等のナショナルブランドに比べて(醸造量に対する)ホップ使用量が多い傾向にあります。「そうしたクラフトブルワリーと国産ホップとの出会いによって、新たな可能性がビールラバーの方々にも広がる可能性を信じている」という楯氏。販売は、サッポロビールが生産者から購入したホップを岩手で加工し、ペレット状態の製品として、商社の(株)イー・エー・ティーを通じて行っていくとしています。
まずはリトルスターと信州早生から
この取り組みによって国産ホップへの需要を高め、クラフトブルワリーの製品とともに国産ホップの新たな魅力を顧客に届けていきたいというサッポロビールは、外販で得た利益を「生産奨励金」として生産者に還元していく方針とのこと。今回外販するのは、サッポロビールが開発した希少品種「リトルスター」と、1910年に開発され、今も各地で作付けされている伝統的な品種「信州早生」の2種。今回は東北で収穫したホップを、(株)イー・エー・ティーが取引する全国数百社のブルワリーに販売していくということで、今後の収穫状況やニーズによっては取り扱い品種の拡大も検討していきたいとしています。
まずは2品種について、ペレット数トンぶんの外販量を確保しているというサッポロビール。国産ホップは穏やかな香りで、いわゆる“ノーブル”タイプが多いとされていますが、華やかな柑橘香やトロピカルなアロマのビールを志向する傾向の多いクラフトブルワリーであっても、「地域性を大切にするブルワリー様は多い。現時点でどれほどの需要があるかはまだ分からないが、クラフトブルワリーさんらしい、日本に根付いた作物を使う“テロワール”なビールづくりとして、国産ホップに対する引き合いはあるのではないかと考えている」と、楯氏は見通しを語ってくれました。
(一部で公開されている)クラフトブルワリー各社の売上情報などから立てた仮説として、サッポロビールは現在、日本のクラフトブルワリーで使用されているホップはおよそ120トンから160トンと見ているそう。現状ではそのほとんどが輸入品となりますが、同社は達成時期は未定としつつも今後の売上目標として、まずはそのシェア10%にあたる14トン前後を国産ホップで担えるようにしていきたいとしています。
「リトルスター」ホップについて
- ホップ概要
- • サッポロビールが開発した国産ホップ品種(開発コード:モニカ)。
• 小さな球花が星のように実ることから『リトルスター』と命名。
• 国産ホップの未来を支える次世代品種として注目。
• ファインアロマ系(親品種:テトナンガー) - 分析値
- α酸値:5.0%~7.5%
- 香りの特徴
- • 穏やかで上品な香り
• ラガーやバランス重視のスタイルに最適
• 国産ホップらしい繊細さが魅力 - 商品詳細
- 荷姿:1kg袋/2kg袋/5kg袋に対応
加工形態:ペレットタイプ90
価格:¥5,700/kg(送料別・税別)
クロップ:2025年
「信州早生」ホップについて
- ホップ概要
- • 1910年に育種が始まり、大正期に命名された日本の歴史的ホップ品種
• 100年以上にわたり日本のビール文化を支えてきた国産ホップの原点
• 日本の気候に適応し、栽培しやすく安定した品質を誇る
• ホワイトバイン種とザーツ種がルーツ - 分析値
- α酸値:2.5%~4.5%
- 香りの特徴
- • 爽やかでフレッシュな香り
• グリーン・果実・花様の香り
• 穏やかな苦味と、伝統品種ならではの深み - 商品詳細
- 荷姿:1kg袋/2kg袋/5kg袋に対応
加工形態:ペレットタイプ90
価格:¥5,700/kg(送料別・税別)
クロップ:2025年
国産ホップ使った共創ビールも来年発売
こうしたホップの外販に加えて、サッポロビールは今回、山梨県小菅村のクラフトブルワリー Far Yeast Brewing(ファーイーストブルーイング)とのコラボレーションビール(※)「テロワールブリュー」を、2026年2月11日(水)に発売します。本商品は、すでにサッポロビールのD2C通販サイト「シュパーク」にて、2025年12月11日(木)に予約受付をスタートしています。
今年6月に本格始動した「シュパーク」では、全国各地のクラフトブルワリーと新しい商品を共創していく取り組みを進めているというサッポロビール。「テロワールブリュー」もそのひとつで、サッポロビールのワインブランド「グランポレール」向けに北海道の北斗ヴィンヤードで収穫したという、ワイン醸造用ぶどうのシャルドネ種とソーヴィニヨン・ブラン種を使用したビールテイストとなります。ワインにインスピレーションを受け、「時間の経過とともにアロマの変化を楽しむビールテイスト」をテーマにFar Yeast Brewingが小菅村の醸造所で製造したという本商品。ホップは、ぶどうの魅力を最大限に引き出すべく、サッポロビールが開発した、グレープフルーツや白ワインを思わせるアロマの国産ホップ「フラノクイーン」を使用しています。
※ 酒税法上の税区分は発泡酒となります
ぶどうと「フラノクイーン」使ったブリュットIPA
ぶどうの香りや甘みに加えてホップや酵母の要素も加わり、オレンジワインのようなフレーバーを楽しめるという本商品。「『最初の一口がおいしい』とか、ゴクゴク飲んだりするような、一般的なビールの楽しみ方とはまた異なり、ゆっくり飲んで楽しんでいただける商品かと思う。時間の経過(温度の変化)とともに現れる香りの変化も含めて楽しんでいただければ」と語るのは、「シュパーク」で商品開発等を担当するサッポロビール顧客体験デザイン部の篠原輝里子(しのはら・きりこ)氏です。
今回、編集部でも缶内二次発酵前の「テロワールブリュー」を試飲してみました。ぶどうのフレーバーをしっかり感じられるとともに、ホップの青々しくグラッシーなアロマも楽しめる、複雑かつ重層的な味わいの本商品。温度が上がってくると甘味や果実味がより支配的になってくる楽しさがあるほか、高アルコールながらドライでスッキリしたマウスフィールなので、時間をかけてじっくり味わう食中酒としてぴったりと感じました。缶内二次発酵を経て発売される2026年2月の段階では、さらにキレを増した、ビアスタイル通り“ブリュット(Brut)”な仕上がりになっていると思われ、来年に向けてぜひチェックしておきたい新商品と言えそうです。
「テロワールブリュー」概要
- 商品名
- テロワールブリュー
- 製造者
- Far Yeast Brewing株式会社
- 容量
- 350ml缶
- ビアスタイル
- Brut IPA with Wine Grapes(発泡酒)
- アルコール度数
- 7.5%
- 発売日・地域
- 2026年2月11月(水)・サッポロビールD2Cストア「シュパーク」にて発売
- 中身特徴
- サッポロビールのワイン「グランポレール」ブランドにも使用されるグランポレール北斗ヴィンヤードで収穫された、ワイン醸造用ぶどう シャルドネ種/ソーヴィニヨン・ブラン種を使用したビールテイスト。香りづけにサッポロビール開発品種であり、グレープフルーツや白ワインのような香りが特徴の国産ホップ「フラのクイーン」を使用。
- Webサイト
- サッポロビール直営オンラインストア「シュパーク」
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