クラフトビールの世界を広げる新サービス「BEER ON TAP」とは?

「BEER ON TAP(ビアオンタップ)」

IT開発等を行うSBWorksエスビーワークス:東京都中央区)は2020年12月、クラフトビールの消費者に、ビアバーの樽生ビール開栓情報などをいち早く提供するサービスプラットフォーム「BEER ON TAPビアオンタップ」(以下、BOT)をローンチしました。

 

飲みたいビールの開栓が“いま”分かる

BOTは、クラフトビールを飲みたいと考えている人々に、「飲食店(以下、ビアバー)でどんなビール銘柄がオンタップになっているか」、あるいは「飲みたいビール銘柄がどのビアバーでオンタップになっているか」といった情報を提供するサービスです。

※ オンタップ:ビールサーバーに樽がつながって、「タップ」と呼ばれる注ぎ口からビールを提供できる状態。

 

「BEER ON TAP(ビアオンタップ)」

オンタップ情報以外にも、ビアバーの営業INFOやブルワリーのニュース等、さまざまな情報を掲載するBOT

消費者は、ビアバー、ビール醸造所(以下、ブルワリー)、ビール銘柄といった基本情報に加えて、ビアスタイル、モルトやホップの品種、IBU(国際苦味単位)、フルーツ等のその他原材料からもオンタップ情報を検索できます。

さらに、スマホの位置情報をONにすれば、今いる場所の近くから、飲みたい銘柄がオンタップとなっている店舗を表示してくれる機能まで実装しています。

 

「BEER ON TAP(ビアオンタップ)」

BOTの特徴は、消費者向けのWebサイトだけでなく、ビアバーとブルワリーにも専用の管理システムがそれぞれ構築・提供されていて、すべてが共通のデータベースでつながっている点です。

その情報プラットフォームを通して、ブルワリーは取り扱いビール情報を簡単に登録・発信できる一方、ビアバーはそのビール情報を選ぶだけで、入力作業等を大幅に省力化しながら自店のオンタップ情報やメニュー印刷内容を更新できるという仕組みになっています。

こうした機能によって、SBWorksは今後、ビアバーやブルワリーにおいて「自店または自社ブランドの認知向上」「ユーザー嗜好を踏まえた仕入れやレシピ開発」「オペレーション改善や物流最適化によるコスト削減」などを強力に支援していきたいとしています。

 

開発者インタビュー

ビアバーやブルワリーの事業を支援したうえで、「各店舗や生産者の情報が散在している現状を集約し、ビギナーの方々にとっても知りやすい環境をつくることがクラフトビール市場のさらなる拡大に向けて重要なポイントになる」というSBWorks。

そこで今回、同社の代表取締役であり、ご自身も大のクラフトビールファンという根本智勝さんに、Always Love Beer編集部(以下、編集部)がBOT開発の経緯やプロダクトの強みを伺ってみました。

ファンとして感じていたことは…

株式会社SBWorks(エスビーワークス:東京都中央区)

クラフトビール好きが高じて社内にビールサーバーまで設置してしまったというSBWorks代表の根本さん(写真右)。最近お気に入りのスタイルはヴァイツェンとのこと

AlwaysLoveBeer
編集部

BOT開発の経緯について教えてください。

SBworks代表取締役:根本智勝さん
根本さん

僕を含めた役員全員に加えて、猛烈にクラフトビールが好きという人たちが社内に多数いて、以前からブルワリーさん巡りをしたりしていました。僕自身も経営者であることをいいことに、社員用の2タップビールサーバーを社内に設置したりして(笑)。樽が2つ入る専用の冷蔵庫を飲食店さんから中古で購入させていただいたんです。

AlwaysLoveBeer
編集部

ファンとして親しむなかで業界の課題解決を考えるようになったのですか?

SBworks代表取締役:根本智勝さん
根本さん

はい。ビアバーに通うとしても、その日のオンタップ情報はビアバーさんのSNS等を細かく確認しないとなかなか分かりません。ブルワリーさんのWebサイトを見ると、お付き合いのある飲食店さんのリストを参照できるケースはありますが、それでも「今日飲みたい」と思っている限定ビール銘柄が、近くのビアバーで今日つながっているかどうかというところまでは分かりませんし。

AlwaysLoveBeer
編集部

情報を快適に集めることができていなかった、と。

SBworks代表取締役:根本智勝さん
根本さん

それで「少し不便だな」と感じていました。たまたまふらっと入ったお店で、「あ、このビールおいしい!」という銘柄やビアスタイルとの出会いがあったとしても、その経験をさらに深めるのが今は少し難しい感覚があります。「それなら、どこか共通のサイト等に、オンタップ情報がまとまって載っていれば」と。それで、好きになったブルワリーやビアスタイルや銘柄、あるいは、なるべくそれに近しいものに、簡単にアクセスできるような世界をつくりたいと思ったのが開発のきっかけになります。

AlwaysLoveBeer
編集部

ブルワリーさんやビアバーさんにはどのようにアプローチしているのですか?

SBworks代表取締役:根本智勝さん
根本さん

全国のブルワリーさんを対象にしつつ、まずは外販に積極的なブルワリーさんをリサーチして、順次営業をさせていただく形にしました。クラフトビールを扱っている東京や大阪の飲食店さんにもお話を伺って、BOTに賛同してくれた店舗さんに取引先ブルワリーさんを教えていただいたりもしています。

AlwaysLoveBeer
編集部

ブルワリーさんやビアバーさんの反応はいかがですか?

SBworks代表取締役:根本智勝さん
根本さん

概ね、好意的に受け止めていただいていると感じます。2020年12月現時点で100社ぐらいのブルワリーさんに営業をしたところなので、これから他のブルワリーさんにも地道に営業をしていきたいです。

見えていなかった情報が見えてくる

「BEER ON TAP(ビアオンタップ)」
AlwaysLoveBeer
編集部

クラフトビールの流通については、これまでも多くの事業者さんがさまざまな提案をしていたと思います。そのなかで特にBOTが採用されているケースでは、何が理由になっているとお考えですか?

SBworks代表取締役:根本智勝さん
根本さん

ブルワリーさん、ビアバーさん、一般消費者の皆さま、すべての方々に統一されたプラットフォームで機能をご提供しているという点はあるかなと感じています。たとえば、ブルワリーさんが酒屋さん経由で飲食店さんに卸している場合、飲食店さんでの状況がなかなか分かりにくかった。飲食店さんに直接卸したとしても、その先で消費者の方々がどういう風に自社のビールを楽しんでいるかといった状況は見えづらかったと思います。

AlwaysLoveBeer
編集部

それを可視化できるプラットフォームが初めてできたということですね。

SBworks代表取締役:根本智勝さん
根本さん

そこに期待を寄せてくださっている部分はあるのかな、と。もちろん、ブルワリーさんも規模や状況によって、「仕事をラクにしたい」「情報を売上増につなげたい」等々、ご要望はそれぞれ異なると思いますし、まだローンチして日が浅いですから、その辺は整理しきれていませんが、一番大きいのは今お話ししたような部分かなと思いますね。

AlwaysLoveBeer
編集部

ブルワリーさんやビアバーさんの売上増につながる情報というのは、具体的にどういったデータになるのですか?

SBworks代表取締役:根本智勝さん
根本さん

たとえばビールファンの方々がBOTの検索機能を使って、原材料に果物を使ったフルーツエールを検索したとします。それなら、原材料として検索されるのは桃が多いのか、それともオレンジのほうが多いのかといったデータを、システムをつくっている僕らは把握できます。あるいは「モザイク」ホップで探す人が多いのか、とか。

AlwaysLoveBeer
編集部

BOTには検索項目がたくさんありますよね。

SBworks代表取締役:根本智勝さん
根本さん

それらの検索項目を通じて、「一般消費者の方々がどんなビールの探し方をするのか」「どのブルワリーさんの情報がよく検索されているのか」「どの地域の人々が見ているのか」といった統計情報を、すべて取得できます。そうした、ビールが好きな人たちは今何に興味があって、どんな行動をするのかという情報を、ビアバーさんやブルワリーさん側に公開して、たとえば商品づくりや仕入れに活かしていただきたいと考えています。

AlwaysLoveBeer
編集部

そうした情報はレポートのような形で提供するのですか?

SBworks代表取締役:根本智勝さん
根本さん

ブルワリーさんとビアバーさん向けのサイトに収集したデータの分析画面を設けて、グラフ等も交えて常に傾向が分かるようにしたいと考えています。そこで、たとえば自社のIPAが他社のIPAと比べてどのぐらい閲覧されているかといったことが分かるようにすることもできます。あるいは、ビアバーさんが毎日タップリストを更新して新しい銘柄を登録するということは、ほとんどの場合、それまでのビールが打ち抜かれたことを意味します。それなら、打ち抜かれるまでの日数も僕らは把握できます。どういった銘柄の売れ足が速いかも確認できる、と。

AlwaysLoveBeer
編集部

そのあたり、これまでは感覚だよりになっている部分があったかもしれません。

SBworks代表取締役:根本智勝さん
根本さん

それが明確なデータをもとに可視化されます。原材料も細かく入力していただける仕組みになっていますから、どのブルワリーさんのどの銘柄に、どんなホップやモルトが使われているかということも、あくまでブルワリーさんが登録をなさっている範囲ですが、ある程度は見ることができます。ですから、事業者さまにとってもいろいろなことが分かって参考になるツールだと思います。

まだまだ機能を拡充予定

「BEER ON TAP(ビアオンタップ)」
AlwaysLoveBeer
編集部

ブルワリーさんはビール情報を登録すれば消費者の方々やビアバーさん向けのPRにもなりますね。

SBworks代表取締役:根本智勝さん
根本さん

はい。特に新しいブルワリーさんほど、BOTのようなプラットフォームによって、他の有力ブルワリーさんと同じ土俵で仕事ができる側面があるようです。原材料に桃を使用したビールとなれば、「桃ヴァイツェン」(箕面ビール)は圧倒的に有名ですよね。そうすると、ビアバーさんも一般消費者の方々も、「桃を使ったビールっておいしい。他のブルワリーも結構つくったりしているの?」と、検索したりするわけです。「それなら、自分たちも桃を使っているビールがあるから原材料に登録しておこう」と。それで、新しいブルワリーさんの銘柄も、ビアバーさんや一般消費者の方々の目に止まりやすくなります。ヘイジーなものとか、フルーツビールとか、仕入れのとき、新しいブルワリーさんがひょこっと顔を並べることができるという意味でも、良いプラットフォームになると認識していただいているように感じます。

AlwaysLoveBeer
編集部

ブルワリーさんからは「出荷した樽が返却されない。うちの樽が今どこで空になっているか分からない」という悩みを聞くときも多数あります。それに対してBOTはトレーサビリティもできると感じます。

SBworks代表取締役:根本智勝さん
根本さん

そうですね。タップリストを変えるというのは、基本的には打ち抜かれたという話なので、「こちらのビアバーさんでは、この樽が空になった筈」ということが把握できます。ですから、まだ実装はしていませんが、タップが更新された時点でブルワリーさんにその通知を飛ばすことも技術的にはまったく可能です。

AlwaysLoveBeer
編集部

逆に、新しい樽がつながったという通知も一般消費者の方々にできそうですね。

SBworks代表取締役:根本智勝さん
根本さん

はい。今はまだ登録されたビールの情報から検索していただくという機能しか提供できていませんが、今後はどんどん新機能を追加したいと思っています。たとえば、特定ブルワリーの銘柄をお気に入り登録しておくと、それがどこかの店舗でオンタップとなった時点で通知が飛ぶという機能も2月までに実装する予定です。

AlwaysLoveBeer
編集部

そうした新機能を含め、今後のサービス拡充について何か他に予定はありますか?

SBworks代表取締役:根本智勝さん
根本さん

お店でビールの写真を撮ってSNSに投稿する方はたくさんいらっしゃいますよね。その共有が簡単にできる機能も実装する予定です。参画しているビアバーに入店した方については、位置情報を拾ったうえで、投稿時に「今、このお店にいますか?」「今投稿しようとしているのは、このタップリストのなかのどれですか?」といったことを確認できる機能です。シェアするときって、ブルワリー名やスタイル名を入力したりして、結構面倒なんですよね。でも、「どのビールですか?」ということだけを選んでもらえたら、それだけで登録されたビールの細かい情報も一緒にシェアできて、投稿のハードルが下がります。

AlwaysLoveBeer
編集部

最後に、クラフトビールファン、またはクラフトビールの世界で活躍していらっしゃる皆さまにメッセージをお願いします。

SBworks代表取締役:根本智勝さん
根本さん

何より僕たち自身、とにかくクラフトビールが大好きという気持ちが強く、そこから「業界が盛り上がればいいな」と考えたのがBOT開発の出発点でした。今も、そのためにどうしたらいいかという思いで、「もっと便利にしたい」と考えています。ですから、何かもっと便利になるようなご提案等があれば、どなたでも、いつでも大歓迎です。ぜひリクエストやご相談をいただけたらと嬉しいなと思っています。

 

クラフトビール界の“三方よし”に期待

「BEER ON TAP(ビアオンタップ)」

現在のBOTは樽生に関する情報サービスとなっていますが、ブルワリーとビアバーからの要望もあり、今後は缶とボトルについても同様のサービスを構築していくとのことです。

また、一般ユーザー向けではWebサイトに加えてアプリ版も2月下旬に提供予定。そこで、ビールログの保存機能や、お気に入りに登録した銘柄がオンタップになったときの通知機能などを実現して、さらに便利にしていきたいとのお話でした。

BOTが、ブルワリーやビアバーの事業を支援するとともに、ファンにとってはクラフトビール体験の楽しさを拡張するドライバになって、ブルワリー、ビアバー、消費者の“三方良し”を実現することを期待したいと思います。

▼BEER ON TAP(ビアオンタップ)
https://botap.jp
▼取材協力:SBWorks(エスビーワークス)
株式会社SBWorks

 

 

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