ヤッホー“らしさ”が炸裂!「よなよなエールのオープンブルワリー」

「よなよなエールのオープンブルワリー」

ヤッホーブルーイングは2019年8月3日(土)と4日(日)、本社である長野県佐久市の佐久醸造所で、ファンイベント「よなよなエールのオープンブルワリー」を初開催しました。2日間でおよそ1000人が訪れたという本イベントを写真とともにレポートします。

 


クラフトビールを「飲む」「知る」「体験する」1日

「よなよなエールのオープンブルワリー」

発酵タンクの中を覗き込む参加者の方々。普段見ることのできない醸造所内の見学ツアーは大盛況でした。

入社3~4年となる同社若手スタッフの方々が「自分たちが感じている醸造所の魅力を多くの人に伝えたい」という思いで企画・運営したという本イベント。地域の方々も招き、ちょっとしたお祭りのような雰囲気となっていた会場(=醸造所)は、同社WEBサイトや各種メディア掲載からも伝わってくる、ヤッホーブルーイング独特の、あの「賑やかしさ」が充満していました。

会場ではレアな限定品を含む同社クラフトビールの数々を試飲・購入できたのはもちろん、醸造所見学テイスティング講座、さらには麦芽粉砕パッケージングの体験等々、醸造所でしか体験できない企画も盛りだくさん。「飲む」「知る」「学ぶ」等々、参加者は思い思いにクラフトビールを楽しみつつ、同社スタッフと一体になってイベントをおおいに盛り上げていました。

本記事ではいくつかの体験企画等をピックアップしてお伝えします。

 

麦芽粉砕、テイスティング、醸造所見学、etc…

「よなよなエールのオープンブルワリー」

【ミリング体験】原材料となる麦芽を、ビールづくりに不可欠なでんぷんを抽出しやすくするため細かく粉砕する「ミリング」作業。参加者の方々は麦芽が入った25kgの袋を持ち上げ、粉砕機へ投入する作業にトライしました。今回作業した麦芽は実際の商品づくりで使われて店頭に並ぶ予定とのこと。

「よなよなエールのオープンブルワリー」

【テイスティング体験】スタッフの方々の指導を受けつつテイスティング。普段はロット違い(製造年月日の違い)を突き止めるほどのシビアな官能評価を行うそうですが、今回は敷居を下げて、用意された3つのビールのなかから、40度で1週間放置して意図的に劣化させたものを突き止めるテストに挑戦しました。それでも難しく、編集部は偶然正解しましたが、もう1回やれと言われてもまったく自信がありません。

「よなよなエールのオープンブルワリー」

【醸造所見学ツアー:その1】大人気だった醸造所見学ツアー。仕込から発酵・貯酒までの製造プロセスに沿って、30分ほどかけて醸造所内を案内していただきました。醸造所内のあちこちには一般の方々向けのちょっとした説明POP等が貼られていて、それらを眺めているだけでも楽しく理解できる時間に。

「よなよなエールのオープンブルワリー」

【醸造所見学ツアー:その2】前述の「ミリング」で粉砕された麦芽に含まれるでんぷんを、酵母によるアルコール発酵のための“ごはん”となる糖に変えるという、「糖化」等が行われる仕込み設備。参加者は糖化でつくられた、いわゆる“一番搾り麦汁”を試飲。少しとろみのある砂糖入りの麦茶というか、麦芽水飴(?)のような、どこかなつかしい風味です。

「よなよなエールのオープンブルワリー」

【醸造所見学ツアー:その3】日本であれば全国規模で商品を流通させているクラフトブルワリーでも2KLや4KLといった規模が多いなか、ヤッホーブルーイングの仕込み設備は10KL。1996年の創業時からこの設備だったということで、現在の水準でもそうですが、当時としてはいかに大きな投資判断だったかが分かります。

「よなよなエールのオープンブルワリー」

【醸造所見学ツアー:その4】仕込み設備の隣には600Lの試験醸造設備がありました。都内のビアレストラン「よなよなビアワークス」で限定販売されるビール等もこちらでつくられているそうです。「社員福祉を兼ねた設備」(同社スタッフ)とのこと。ビールづくりが福祉になるというところがビールマニア集団らしいですね。

「よなよなエールのオープンブルワリー」

【醸造所見学ツアー:その5】1次・2次発酵が行われる1基20KLの発酵タンクがところ狭しと並ぶスペース。発泡酒免許で運営されている比較的小規模なブルワリーであれば年間醸造量(あるいはそれ以上?)に匹敵するビールを、タンク1基を使って1回で醸造するということで、改めてヤッホーブルーイングの規模に驚かされます。

「よなよなエールのオープンブルワリー」

【醸造所見学ツアー:その6】1次・2次発酵後の“若ビール”を熟成させる、ひんやりとした貯酒タンクのスペース。ここで低温にしてビール酵母の動きを止めます。“若ビール”の試飲もさせてもらえました。「熟成前のトガっている味」(同社スタッフ)とのことで、言われてみるとそんな気もしますが、「これはこれで商品として成立するうまさのような」と感じてみたり。

「よなよなエールのオープンブルワリー」

【醸造所見学ツアー:その7】屋外に設置されている1基40KLの「コニカルタンク」は間近で見るとド迫力。2014年導入された設備で、1次発酵・2次発酵・貯酒という工程ごとにビールを新たなタンクに移し替える必要がなく、醸造工程を大幅に合理化できるそうです。ただ、現在はこれでも需要に追い付かずキリンビールが製造を受託している状態ということで、最近のクラフトビールムーブメントの勢い感じます。

「よなよなエールのオープンブルワリー」

【醸造所見学ツアー:その8】コニカルタンク(左)の下部は通路になっていて、そこに「ホップキャノン」(右)と呼ばれる設備がありました。通常は仕込み(麦汁の煮沸)段階で投入するホップをこちらの設備で発酵中にも加えてアロマをさらに強調します。ペールエールやIPAといった“ホップホップしい”クラフトビールのキャラクターを決定づける設備の1つ。

「よなよなエールのオープンブルワリー」

【パッケージング体験】セミオートの機械による缶のパッケージング体験もできました。パッケージング前は上面がフタのように分かれているんですね。そのフタを被せ、缶の回転させながら周囲を締めて密封します。数秒で「ナイスパッケージング!(by 同社スタッフ)」に。実際の量産もまったく同じ方法ですが、量産ライン自体は完全オートメーションで1分間に160缶(!)のスループットだそうです。

「よなよなエールのオープンブルワリー」

【原材料体験:その1】ペールエールモルト(左)、ウィートモルト(中)、チョコレートモルト(右)等々、原材料コーナーではビールの主原料となる麦芽が展示されていたので食べてみました。ポリポリと歯ごたえが良くておつまみにいいかも? ただ、結構歯に挟まります。チョコレートモルトやブラックモルトはすごく苦いですね。

「よなよなエールのオープンブルワリー」

【原材料体験:その2】カスケード、シムコー、モザイク、マグナム等々、「よなよなエール」や「インドの青鬼」で使われている各種ホップも展示されていて、飲み比べならぬ嗅ぎ比べも堪能。通常、ホップはペレット状に成形されたものを使用するケースがほとんどですが、ブースには成形前の乾燥ホップ(右)もありました。グラッシーで本当にいい香りです。

「よなよなエールのオープンブルワリー」

【直販スペース】過去のイベントグッズや会場でしか買えない限定ビールも多数販売していた直販スペース。編集部は夜に運転予定で試飲等はできませんでしたが、そのぶんいつもより多めにビールを購入したので後日また当サイトでご紹介できればと思います。

 


独特の手づくり感がファンとの距離の近さに

「よなよなエールのオープンブルワリー」

会場にはヤッホーブルーイングのビール缶をつかった多肉植物の寄せ植えワークショップも登場。キッズコーナーやフード販売も充実していて、ご家族連れや運転係等でアルコールフリーの方でも存分に楽しめた1日だったのでは?

本イベントを通して改めて感じたのは、ヤッホーブルーイングとファンとの「近さ」。ユニークな各種企画はもちろん、会場のあちこちに貼られた楽しげな案内POPですとか、スタッフの方々が自分なりの“スタイル”でファンと接しているところですとか、イベント全体に独特の手づくり感が溢れていて、会社が大きくなってもファンとの距離が広がらないヤッホー“らしさ”はこういうところにあるのかなと思いました。

今回が初開催のオープンブルワリー。今後の予定はまだ分かりませんが、また開催されるようであればぜひ1度は佐久を訪れてみていただきたいと思います。

「よなよなエールのオープンブルワリー」

【帰路にて】この日いちばんヤッホー“らしさ”を感じたのは醸造所の外。帰路、JR佐久平駅にある売店に寄ったところ、ビール棚のドアにこんなメッセージが。ファンがどんな風に考えて行動しているのかということを、最前線にいるスタッフの方々が柔軟に想像しているんだなということがよく分かります。

 

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でオールウェイズ・ラブ・ビールをフォローしよう!