うどんこ病に抵抗性持つホップ開発。サッポロビールが温暖化の病害リスクに先手

サッポロビールは2026年7月29日(水)、ホップ栽培において世界的な課題になっているという「うどんこ病」への抵抗性を持つホップ品種「フラノ2004B号」の開発に成功したことを発表しました。
気候変動により増加の恐れがある病害リスクの低減と、将来にわたるビール原料の安定的な生産・調達を目指し、継続的に取り組みを進めてきた成果であり、今後品種登録された場合は、日本で登録されたホップ品種として初のうどんこ病抵抗性品種になるとしています(※1)。
温暖化により北海道や東北でも被害拡大のおそれ
ビールに香りや苦味を与える重要な原料であるホップは、他の農作物と同様、収穫量や品質が気候条件に左右され、今後は温暖化や天候の不安定化といった気候変動が世界のホップ生産に悪影響を及ぼすことが懸念されているとしています。
気候変動がホップ生産にもたらすリスクの1つは、うどんこ病による被害増加があるというサッポロビール。うどんこ病は葉や球花に白い粉状の斑点が発生する病気で、感染した球花は成長が抑制され萎縮するほか、ビールの苦味の元となる成分も減少し(※2)、収穫量や品質の低下をもたらすそう。一方で、うどんこ病は20℃前後の温度帯で感染が進行しやすいこと(※3)、夜間に感染リスクが高まること(※4)がそれぞれ示唆されているとのこと。従って、国内ホップの主要産地である北海道と東北は比較的冷涼な気候で生産に適していますが、今後夜間の気温が上昇した場合は、うどんこ病にとってより好適な気象条件となり、ホップへの被害が増加する恐れがあるとしています。
また、現在の主なうどんこ病対策は農薬散布だそうですが、近年では一部の生産者において農薬を使用してもなお、うどんこ病が発生し、対策に苦労しているケースが確認されているそう。さらに、世界的には環境負荷の低減に向けて化学農薬への規制強化が進むことも予想されており、サッポロビールは、うどんこ病抵抗性品種の開発が、持続的な病害対策を目指すなかで重要な手段の1つになるとしています。
※1 サッポロビール調べ
※2 Twomey, M. C., Wolfenbarger, S. N., Woods, J. L., & Gent, D. H. (2015). Development of partial ontogenic resistance to powdery mildew in hop cones and its management implications. PLoS ONE, 10(3), e0120987.
※3 Turechek, W. W., Mahaffee, W. F., & Ocamb, C. M. (2001). Development of management strategies for hop powdery mildew in the Pacific Northwest. Plant Health Progress.
※4 Mahaffee, W. F., Turechek, W. W., & Ocamb, C. M. (2003). Effect of variable temperature on infection severity of Podosphaera macularis on hops. Ecology and Epidemiology, 93(12), 1587.
気候変動に適応する新品種開発を4年前倒し
そうしたなかサッポロビールは、うどんこ病への抵抗性を示すホップ品種「フラノ2004B号」を開発し、気候変動適応性を有するホップと位置付けて品種登録を出願。この出願は、同社が掲げる「2030年までに気候変動に適応するための新品種を登録出願」(※5)を4年前倒しで達成するもので、同社が気候変動対策を率先して取り組んだ成果であるとしています。
「フラノ2004B号」は収穫量と苦味成分量、醸造試験においても従来品種と同等以上の成績を出しており、うどんこ病抵抗性以外の側面からも有望視しているとのこと。サッポロビールは現在、「フラノ2004B号」の品種出願登録と商業栽培の計画を進めており、2027年から商業栽培開始を目指すとともに、将来的には同社主力ビールブランドでの使用、また海外での商業栽培化も見据えていきたいとしています。
■サッポロビール担当者コメント
(原料開発研究所 主幹研究員 兼 購買部 ホップフィールドマネージャー 久慈 正義 氏)
以前のホップの品種開発は苦味や香りといった、ビールのおいしさに関わる要素を重視していましたが、近年は気候変動の影響や持続的な生産についても意識するようになり、病害への強さや収穫量の高さを兼ね備えたホップの開発に取り組むようになりました。こうした方針の変化の中で生まれたのが「フラノ2004B号」です。収穫量や苦味成分量が有望でうどんこ病に強い「フラノ2004B号」が、高品質で安定的なホップの生産・調達に貢献できることを期待しています。サッポロビールではこれからもおいしいビールを造り続けていくために、ホップの品種開発に取り組んでいきます。
















