プレミアム価値は物性から体験・物語へ。2026年ヱビスブランド戦略が発表

ヱビスの外食における新たな取組および「YEBISU BREWERY TOKYO」開業2周年施策発表会

サッポロビールは2026年4月3日(金)、都内のヱビスブランド体験拠点「YEBISU BREWERY TOKYO」にて、「MASTER OF YEBISU」認定制度をはじめとした外食における新たな取り組み等、2026年のヱビスブランドアクションを発表しました。

本記事では、「YEBISU BREWERY TOKYO」で開催された、『ヱビスの外食における新たな取組および「YEBISU BREWERY TOKYO」開業2周年施策発表会』の様子を中心にレポートします。

 

2025年の販売規模は前年比105%を達成

ヱビスの外食における新たな取組および「YEBISU BREWERY TOKYO」開業2周年施策発表会

国内酒類需要が右肩下がりとなり、若年層のお酒に対する関心も薄まっているという現在、「偶発的なお酒との出会いはますます重要さを増しており、サッポロビールは今後も体験接点の増加と体験価値の向上にしっかり取り組んでいく」と語るのは、最初に登壇した、同社マーケテイング本部 ビール&RTD事業部部長の下和田勇(しもわだ・ゆう)氏です。

そのためには、オープン以来2拠点で100万人超が訪れたという同社基軸ビールブランドの体験拠点「YEBISU BREWERY TOKYO」と「サッポロ生ビール黒ラベル THE BAR」のほか、銀座ライオン・ビヤホールライオン・YEBISU BARといったグループの飲食店、そして「何より外食の飲食店。飲食店様での上質な生ビール体験を通して当社ブランドの魅力・個性を感じてファンになっていただき、それを家庭用の購買につなげるというサイクルをしっかり回したい」(下和田氏)としています。

そのなかで「共鳴」と「共創」をテーマにさまざまなアクションに取り組んできたというヱビスビール。昨年度は2回にわたる漫画家・荒木飛呂彦氏デザイン缶の発売をはじめ、東京芸大の学生との共創プロジェクト「福ヱビス」、そしてヱビスビールのバリューアップ等を行い、同製品の新規顧客率は68%を達成。通常のビールが60%前後ということで、「非常に多くの新規顧客を獲得できたという手応えを感じている」と、下和田氏は語ります。

 

サッポロビール マーケテイング本部 ビール&RTD事業部部長 下和田勇(しもわだ・ゆう)氏

サッポロビール マーケテイング本部 ビール&RTD事業部部長 下和田勇(しもわだ・ゆう)氏

また、「YEBISU BREWERY TOKYO」は2年間で累計来場者数が約57万人に達したほか、「CREATIVE BREW」シリーズでは、購入者に占める直近1年間のヱビスブランド未購入者の割合が約70%に達しており、同シリーズでも数多くの新しい顧客にアプローチできたとしています。そうした新規顧客への各種アプローチもあり、2025年のヱビスビール累計推計販売規模(金額)は前年比105%と、非常に好調に推移。同87%と苦戦している高価格ビールカテゴリはもちろん、ビール市場全体の同101%も上回っており、大きな手応えを感じているとのことです。

このほか、共創の取り組みも成果をあげており、荒木飛呂彦デザイン缶では購入者の34%が年末までにヱビスビールを再購入。「今までヱビスビールに触れることのなかったお客様に本商品の魅力を感じてもらっているのではないか」と、自信を深める下和田氏。さらに、「YEBISU BREWERY TOKYO」の来場者におけるライトファンの平均飲用量は来場後に160%まで高まるなどしており、「体験拠点を通じてヱビスブランドのファンになっていただくことで、飲用量が大きく増加した」とのこと。「今年10月に最後の酒税改正を迎えるにあたり、当社としては引き続き『心を満たし、前に進む意欲につながる“情質価値”』を提供すべく、広告と体験の両輪でヱビスビールの魅力をしっかり伝えていきたい」と、下和田氏は今後に向けた決意を語りました。

 

歴史・土地・人の3つがヱビスの強み

ヱビスの外食における新たな取組および「YEBISU BREWERY TOKYO」開業2周年施策発表会

続いて登壇した同社マーケティング本部 ビール&RTD事業部 ヱビスブランドマネージャーの荒木進之介(あらき・しんのすけ)氏からは、2026年のヱビスブランド戦略について説明が行われました。

ヱビスブランドが目指しているのは、「物性を軸としたプレミアムビールからの脱却であり、物語やビジョンへの共感によるプレミアム価値の創造」という荒木氏。プレミアム価値は今後、物性の豊かさでなく、「感情の質を高め人生を豊かにする価値」とサッポロビールが考える“情質価値”へ移行。技術進歩で品質差が、価格改正で価格差が縮小するなか、生活者がプレミアムビールを選ぶ理由は、「どんな味が美味しいか」「どんな特徴があるか」から、「どんな時間を過ごせたか」「どんな良い記憶があるか」に変化していくとのこと。「だからこそ、今後のプレミアムビール競争軸は体験・物語になると考えている」と、荒木氏は語ります。

その点、歴史・土地・人の3つを強みに、語れる体験をつくることができるというヱビスブランド。「1890年から続く歴史のなかで貫き続けた本物のビールへのこだわり、ビールの名前が街の名前になった恵比寿という土地、そして飲食店をはじめとしたパートナーや生活者と積み重ねてきた関係。それらの強みから生まれるヱビスならではの体験を通じて、感情を動かし、記憶に残ることで、選択の場で思い出していただける」(荒木氏)。広告だけでなく、そうした体験・物語を通じて選択される理由を増やすことが、ヱビスにとってプレミアム価値の創造であり、成長戦略になるとしています。

 

サッポロビール マーケティング本部 ビール&RTD事業部 ヱビスブランドマネージャー 荒木進之介(あらき・しんのすけ)氏

サッポロビール マーケティング本部 ビール&RTD事業部 ヱビスブランドマネージャー 荒木進之介(あらき・しんのすけ)氏

サッポロビールが、そうしたブランド体験の中心に置くのが外食体験です。「ヱビスにとって重要な顧客接点である外食は、ヱビスビール、食事、人、空間、そのすべてを組み合わせることで情質価値を創造する場。外食体験自体をブランド体験に変えていきたい」という荒木氏。外食体験の中核となるのは、まずはヱビスブランド樽生を高品質で提供する飲食店を対象とした「絶品ヱビスの店」となりますが、今回は、そこから一歩先に進み、店舗でなく人に対する認定制度も新たにスタート。それが、「“正しいビール”をご提供するだけでなく、ビールを通じて記憶に残る体験をつくることを追求していく」ための象徴的な取り組みという「Master of YEBISU(マスターオブヱビス)」です。

ヱビスの情質価値につながる飲食体験の体現者を増やすことが目的という「Master of YEBISU」認定制度。認定者は、圧倒的なヱビスの提供クオリティを実現することに加えて、ビールの歴史や文化を語り、伝えるという「紡ぐ」、恵比寿の特徴を熟知したからこそできる上質な飲用体験を提供する「魅せる」、そしてヱビスの共創パートナーとして顧客に新たな気づきを提供する「創る」という、3つの役割を担うとのこと。

象徴的なのは「魅せる」。注ぎ分けによってヱビスビールの特徴を表現すべく、旨味あふれるふくよかなコクで注ぐ「絶品ヱビス」のほか、麦芽100%由来の麦の旨みを引き立たせる「ヱビスビール~濃醇~」、そしてヱビス酵母が醸し出す香りと余韻を引き立たせる「ヱビスビール~余韻~」という、3種の注ぎ分けでヱビスの魅力を伝えていくとしています。もちろん、人を通じてヱビスの体験を届けることが目的となるため、技術にとどまらず、知識や所作を含めたすべてが所定基準を満たし、ヱビスが掲げる上質な飲用体験を提供できると判断されることが「Master of YEBISU」認定の条件になるとしています

 

人を通じて、より深い情質価値を提供

ヱビスの外食における新たな取組および「YEBISU BREWERY TOKYO」開業2周年施策発表会

「ヱビスビール~濃醇~」の注ぎ分けを行う「Master of YEBISU」認定者の井上学氏(「日本酒とお酒と馬肉料理 うまえびす」シェフ)

今回の発表会では、すでに先行して「Master of YEBISU」を取得した恵比寿エリアの飲食店「日本酒とお酒と馬肉料理 うまえびす」の井上学氏のコメントも紹介されました。恵比寿エリアの営業担当者から「街独自の取り組み」として本制度の案内を受けたという井上氏。参加を決めたのは、「恵比寿の街を熱源に全国へアクションを広げたい」との説明を受けたためであり、「この街で商売するからには参加すべき取り組みだと思った」と、条件ではなく思いに共感したうえで参加を決めたとしています。

「Master of YEBISU」認定の取得後は、「ビールを注ぐ意識自体が大きく変わった」という井上氏。ヱビスビールを通じて顧客とのコミュニケーションも増えており、とりあえずの一杯が「意味ある体験」として届いていると感じるようになったそう。たとえば顧客側も、複数名で来店した際、それぞれ異なる注ぎ方のヱビスを注文したうえで飲み比べを楽しむようなケースが増えており、「グラスや注ぎ分けでこれほど違うのか」と驚くとともに、ビールを意識して味わうようになってきたとも感じているとのこと。人を通じて、飲食店からさらに深い情質価値の提供を目指すという今回の「Master of YEBISU」は、昨年恵比寿エリアで先行スタート。2026年度は全国へ広げていく予定で、今年は20~30人の認定を目標にしているとしています。

 

ブランド体験拠点も「物語を理解し持ち帰る場所」へ

YEBISU BREWERY TOKYO「Travelogue(トラベログ)」

飲食店に加え、ヱビスブランドの体験を象徴する拠点「YEBISU BREWERY TOKYO」も、2026年4月3日(金)に開業2周年を迎えており、今回、さらに深い体験を提供する場所とすべく2つのブラッシュアップが行われました。まずは4月4日(日)、日本語・英語・韓国語の3言語に対応した「ヱビス音声ガイド」がスタート。日本語版ではブランドアンバサダーである山田裕貴さんがナレーションを務めました。

また、同日にはYEBISU BREWERY TOKYOのフラッグシップビール「ヱビス∞(インフィニティ)」も瓶商品として通年販売を開始しています。「ヱビスの物語・姿勢への理解促進を音声ガイドで強化し、瓶の通年発売で自宅へ持ち帰る仕掛けをつくる。そうしてブランドのファン化につなげていく。訪れて終わりの場所から、理解し、思い出を持ち帰る場所へ、さらにブラッシュアップしていきたい」(荒木氏)としています。

 

YEBISU BREWERY TOKYO「Travelogue(トラベログ)」

再生農業で栽培した大麦麦芽を一部使用したという“ゆずミントエール”スタイルの限定ビール「Travelogue」。みずみずしいゆずの香り、繊細な苦味、ミントの清涼感が特徴

このほか、「YEBISU BREWERY TOKYO」では2周年を記念する限定ビール「Travelogueトラベログ)」の販売もスタートしました。「YEBISU BREWERY TOKYO」の有料参加型ツアー「YEBISU ∞ JOURNEY(ヱビス インフィニティ ジャーニー)」で募っていた“未来のヱビス”に寄せられた、600点以上のアイデアをもとに開発したという本商品。開発ではサプライヤーとの共創も実現しており、フランスの大手製麦会社であるSoufflet Malt(スフレモルト)社が製造した再生農業栽培の大麦麦芽「Regenova(リジェノバ)」を一部採用したとのこと。「商品開発を自分たちだけの話で終わらせず、生活者、そして同じビールの可能性を信じる同志とともにつくった、未来に向けたビール」(荒木氏)とのことで、「このように、ヱビスの体験では“ブランド主語”と“生活者主語”を行ったり来たりする体験設計が重要になると考えている。ヱビス自身もビールで挑戦しながら、それをビール無関心層を含めた顧客に伝え、情質価値として体験していただきたい」としています。

そのうえで、伝えるだけのブランドから記憶に残るブランドへ進化すべく、食・街・人を通じてヱビスならではの挑戦・物語を体験として届けていきたいとのこと。「共創」「共鳴」をテーマに2026年は外食接点を強化し、「Master of YEBISU」飲食店での取り組みに加え、毎年秋に恵比寿ガーデンプレイスで開催している人気イベント「YEBISU BEER HOLIDAY」も今年は「YEBISUビアグルメグランプリ」にブラッシュアップする予定とのこと。こうした一連の取り組みによって、ヱビスの情質価値「心を満たし、前向きに進もう」という気持ちになる体験をさらに増やしていきたいと、荒木氏は語ってくれました。

 

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でオールウェイズ・ラブ・ビールをフォローしよう!

山本兼司
この記事を書いた人
山本兼司
■「Always Love Beer(オールウェイズ・ラブ・ビール)」代表
記者として工業専門誌で2年、編集ライターとしてライフスタイル雑誌で3年勤務したのち、フリーランスへ。2016年6月に当サイトを立ち上げ、企画、編集、取材ライティング、撮影、デザイン、コーディング等を担当。2021年5月に合同会社しおりワークスを立ち上げ、代表に就任。
HP:https://www.shioriworks.com/