Far Yeast Brewing、赤ワインの摘房ブドウを活用したセゾンビール発売!

Far Yeast Brewing「Far Yeast Grapevine 2026」

山梨県小菅村のクラフトビールメーカー Far Yeast Brewing(ファーイーストブルーイング)は2026年10月13日(火)、ワインブランド「シャトー・メルシャン」の摘房ブドウを活用して製造したというビール「Far Yeast Grapevine 2026(ファーイースト グレープバイン)」を発売しました。同社は「Far Yeast Grapevine 2026」の仕込みに使用したブドウ果皮を再活用したというジン「Azeotrope Grapevine GIN(アゼオトロープ グレープバイン ジン)」も同日発売しています。

本記事では、10月9日(金)に都内・西五反田のFar Yeast Brewing直営ビアバー「Far Yeast Tokyo(ファーイーストトーキョー)」で開催された「Far Yeast Grapevine 2026 商品体験会」の様子を合わせてレポートします。

 

“山梨とともに醸す”プロジェクト

Far Yeast Brewing「Far Yeast Grapevine 2026(ファーイースト グレープバイン)」

本商品は、ワイン用のブドウ栽培で、果実に栄養が行き渡るよう「摘房(てきぼう)」と呼ばれる間引き作業を行ったブドウを、ビール原材料としてアップサイクルしたという“フルーツセゾン”スタイルのビールです。摘房された果実は糖度が低くワイン醸造には適していないため、通常は土へと還されることが多いそうですが、ビールには十分な糖度があるということで今回は仕込み段階で投入されました。

 

Far Yeast Brewing(株) Production事業本部 マネージャー 富田 晃史 氏

「“Grapevine”はブドウの木(ツル)という意味。ツルのようにあちこちへ伸びて、多くの方々とのつながりを広げていくというイメージを込めて名付けた」(Far Yeast Brewing 富田氏)

2020年、コロナ禍にあえぐ地元山梨を「ビールを通じて元気にしたい」との思いから「山梨応援プロジェクト」をスタートしたというFar Yeast Brewing。以降、桃農家を悩ませていた“ハネ出し桃”を活用した「PEACH HAZE」をはじめ、生産者が抱えるさまざまな課題の解決につなげる製品として、桃、梅、ブドウ、スモモ、お米、ホップ等、山梨県産の農産物でさまざまなビールをつくってきたとしています。

そのなかで、「“応援”という表現には第3者的なニュアンスがあるかな、と。次第に(当事者として)山梨の生産者の皆さまと一緒にものをつくっていきたいという気持ちに変わっていった」と語るのは、Far Yeast Brewing Production事業本部 マネージャーの富田晃史 氏です。そこで2024年からはプロジェクト名を「Brewed with YAMANASHI」に変更。今回の「Far Yeast Grapevine」は、そんな「Brewed with YAMANASHI」シリーズのひとつであり、今年で醸造6年目となります。

 

シラー、ネルソンソーヴィン、セゾン酵母の香りがマッチ

鴨居寺ヴィンヤードでの摘房作業

鴨居寺ヴィンヤードでの摘房作業

今年も8月初旬に同社スタッフがシャトー・メルシャンの鴨居寺ヴィンヤードを訪れ、赤ワイン品種「シラー」400kgをメルシャンのスタッフとともに収穫したほか、今回は「マスカット・ベーリーA」「タナ」「ピノ・ノワール」等、祝村ヴィンヤードの試験品種を含む計9種のブドウ100kgの提供も受け、計500kgを2,300Lのビール醸造に活用したとしています。

 

鴨居寺ヴィンヤードでの摘房作業

今後もメルシャンさんとご一緒に、ブドウの特徴や個性を生かしたビールをつくりたい。スタイルは固定しつつ、製法は毎年少しずつブラッシュアップして、より美味しいものをつくっていけたら」(Far Yeast Brewing富田氏)

これまでは収穫状況等によって使用するブドウの品種とビアスタイルを変えていた「Far Yeast Grapevine」ですが、今年はビアスタイルを“セゾン”にしており、今後は同じセゾンスタイルで醸造していく方針とのこと。ベルギー発祥のセゾンは、夏の農作業の合間に水分補給として飲まれていたという由来もあり、「ストーリーとしてもFar Yeast Grapevineと好相性。(スタイルを変えることによる)その年ならではの一期一会的な楽しみもあるが、今後はセゾンに固定したうえで、その年ごとのブドウの違いや個性をより明確に表現していきたい」と、富田氏は語ります。

 

Far Yeast Brewing「Far Yeast Grapevine 2026」

製造工程では、搾汁したブドウ果汁およびブドウ果皮を仕込み時に投入したほか、白ブドウを思わせる香りが特長のホップ「Nelson Sauvin」を発酵後期にドライホップ(※)したとのこと。そうして完成したビールは、クリアなゴールドのアピアランスのなか、シラーがメインの、少しフラワリーで胡椒っぽいスパイシーなニュアンスのほか、Nelson Sauvin由来の白ワインを思わせる芳醇な香り、そしてセゾン酵母由来のクローブのようなスパイシーな香りが調和した仕上がりに。口に含むとブドウの程よい酸味が感じられ、赤ワインのようなタンニン感のある渋みも少し加わって、「ワインとビールのハイブリッドな味わいになった。全体としてはスッキリとドライな口当たりで、お食事とも非常に合わせやすいビールになったと思う」(富田氏)としています。

※ 発酵中または主発酵後のビールにホップを添加して豊かな香りづけを行う製法

 

シンプル設計ながら複雑味ある香りのジンに

Far Yeast Brewing(株) Production事業本部 マネージャー 高井 大 氏

「“Azeotrope”の意味は共沸。沸点の異なる2つの液体をある比率で混ぜた際、組成比を保ったまま一緒に沸騰する現象で、ビールとスピリッツの事業が共生していくイメージから名付けた」(Far Yeast Brewing 高井氏)

Far Yeast Brewingは今回、「Far Yeast Grapevine 2026」の仕込みに使用したブドウ果皮の残渣を再活用したというジン「Azeotrope Grapevine GIN」も発売しました。クラフトジンなどの同社蒸留酒製造は、コロナ禍で行き場を失って大量に発生してしまった廃棄ビールのアップサイクルからはじまったという事業です。現在はビール製造で一定量発生する“ロスビール”から蒸留酒をつくり、そこで取り出したスピリッツを使用してジンやリキュールにしているそう。今回は、クラシカルなロンドンドライジン等で使われることの多い、ジュニパーベリー、コリアンダーシード、アンジェリカルートのボタニカル3種を使用。そこにプラスアルファとして、「アップサイクルのアップサイクル」(高井氏)ということで、「Far Yeast Grapevine 2026」の仕込みで漬け込んだブドウの搾りかす(果皮)も、ベースとなるスピリッツに浸漬したとしています。

 

Far Yeast Brewing「Azeotrope Grapevine GIN(アゼオトロープ グレープバイン ジン)」

「飲み方としてはシンプルにソーダ割りや氷割りにしていただくだけでも十分楽しめるかと思う」(高井氏)。Far Yeast Tokyoではグレープジュースとレモンを加えたカクテルで提供。

そうして完成した「Azeotrope Grapevine GIN」について、高井氏は「ブドウは2回アップサイクルしていることもあって、香りは比較的おだやか。逆にそれが良い。通常のワインで感じるようなフルーティーでジューシーな香りというより、爽やかで優しい香りが立っていて、それを支えるようジュニパーベリーのすっきりした柑橘系の香りがある。そのうえで、ベースではコリアンダーシードとアンジェリカルートの清涼感ある香りも出ている」とコメント。シンプルな設計ながら意外と複雑な香りで、同社の特徴でもある、ロスビールを蒸留したスピリッツらしい、ビール由来のハーバルな香りも融合していて、コクのある深い香りになったという本商品。「Grapevine」の蒸留酒は今年が初めてでしたが、「思った以上に良い出来になった。来年以降もいろいろ試行錯誤はしつつ、新しいことを模索していきたい」(高井氏)としています。

 

同じ思いを持った2社で今後もコラボを継続

メルシャン(株) シャトー・メルシャン 事業本部長 兼 ゼネラル・マネージャー 小林 弘憲 氏

メルシャン(株) シャトー・メルシャン 事業本部長 兼 ゼネラル・マネージャー 小林 弘憲 氏

「Far Yeast Grapevine 」のコラボレーションパートナーとして摘房ブドウを提供しているメルシャン(株)のシャトー・メルシャン 事業本部長 兼 ゼネラル・マネージャーの小林弘憲氏は、「今年からは鴨居寺ヴィンヤードでの収穫に加えて、今年新たに試験圃場である祝村ヴィンヤードの品種も提供させていただいた。まざまな品種や畑があるので、“次はこういうものに挑戦したい”といったお話をいただければ、“じゃあ今年はこの品種にしましょうか”なんていうこともできるかなと思っているす。私たち自身も循環型の農業に取り組んでいるなかで、Far Yeast Brewingさんとい同じ目線で、同じ方向を向いて取り組むことができて、非常に良かったと感じる」と語りました。

 

Far Yeast Brewing(株) ブランドコミュニケーション/蒸留酒製造 小松代 広之 氏

Far Yeast Brewing ブランドコミュニケーション/蒸留酒製造 小松代 広之 氏

今後も継続的にアップサイクルによるビールやジンづくりを続けていきたいというFar Yeast Brewing。同社でブランドコミュニケーションに加え蒸留酒製造を担当する小松代広之氏は、「山梨に会社を構えて、いろいろな生産者さまとつながりができた。ビールもジンもワインも作り手にとっては“命の液”。ロスビール等はコストだけで考えたら廃棄するという考えもあるかもしれないが、我々としては、やはり生産者さんがいて、いろんな工程を経て製品づくりをしていることに誇りを持っている面がある」とコメント。「廃棄を増やして環境破壊等につなげたくないし、せっかく生産者さまが大事に育ててくださったもの。ぜひ今後もロスビールや果実をアップサイクルした蒸留酒づくりを続け、来年以降も皆さまがワクワクするようなものを出していきたいと思う」と、今後に向けた抱負を語ってくれました。

 

商品概要

左から「シャトー・メルシャン 鴨居寺シラー 2023」「祝村ヴィンヤード ロゼ 2022」「Far Yeast Grapevine 2026」「Azeotrope Grapevine GIN」

左から「シャトー・メルシャン 鴨居寺シラー 2023」「祝村ヴィンヤード ロゼ 2022」「Far Yeast Grapevine 2026」「Azeotrope Grapevine GIN」(500ml、150ml)

「Far Yeast Grapevine 2026」概要

商品名
Far Yeast Grapevine 2026(ファーイースト グレープバイン)
販売開始日
2026年10月13日(火)
販売先
Far Yeast Brewing公式オンラインショップ
Far Yeast Tokyo、全国のビアバー、飲食店、酒販店
希望小売価格
オープン価格
原材料
ブドウ(山梨県甲州市産)、麦芽(外国製造)、糖類、ホップ
アルコール度
6.0%
スタイル
American Pale Ale with Wine Grapes
品目
発泡酒(麦芽使用率:25%以上50%未満)
醸造所
Far Yeast Brewing源流醸造所(山梨県小菅村)
仕様
350ml缶 / 15L樽
Webサイト
Far Yeast Brewing 公式オンラインショップ
Far Yeast Tokyo 公式ページ

 

「Azeotrope Grapevine GIN」概要

商品名
Azeotrope Grapevine GIN(アゼオトロープ グレープバイン ジン)
販売開始日
2026年10月13日(火)
販売先
Far Yeast Brewing公式オンラインショップ
Far Yeast Tokyo、全国のビアバー、飲食店、酒販店
希望小売価格
オープン価格
原材料
スピリッツ(国内製造)
アルコール度
45%
品目
リキュール
醸造所
Far Yeast Brewing源流醸造所(山梨県小菅村)
仕様
150mlびん / 500mlびん
Webサイト
Far Yeast Brewing 公式オンラインショップ
Far Yeast Tokyo 公式ページ

 

山本兼司
この記事を書いた人
山本兼司
■「Always Love Beer(オールウェイズ・ラブ・ビール)」代表
記者として工業専門誌で2年、編集ライターとしてライフスタイル雑誌で3年勤務したのち、フリーランスへ。2016年6月に当サイトを立ち上げ、企画、編集、取材ライティング、撮影、デザイン、コーディング等を担当。2021年5月に合同会社しおりワークスを立ち上げ、代表に就任。
HP:https://www.shioriworks.com/